遺品整理を行う際、誰もが親族で揉めることなくスムーズな作業、手続きを望んでいるはずです。とはいえ、遺品整理は大半の人が不慣れな作業。加えて、精神的ダメージが癒えぬままおこなわなければなりません。慣れない作業や情緒不安定によるストレスで、遺品整理中の些細な事が親族間の揉め事に発展してしまうこともあります。実際、遺品整理でのトラブルが原因で、親族間の関係が壊れてしまったという事例も少なくありません。もちろん、誰もが揉め事のない遺品整理を望んでいるはず。故人様も自分の死をきっかけに、親族同士の争いが起きてしまったことになると悲しまれることでしょう。無駄な争いを防ぐため、まずは親族間でトラブルの原因になりやすい事柄を把握しておくことも大切。それらを意識した遺品整理を行うことで、親族トラブルを回避できる問題もあるはずです。そこで今回は遺品整理中にありがちな親族間トラブルと、親族間トラブルを未然に防ぐための対策などを紹介します。
親族同士の揉め事に繋がりやすい6つの原因
まずは遺品整理で親族同士の揉め事に繋がりやすい行程を6つに分けて紹介します。
1人の独断で遺品整理を進める
1人で遺品整理を行うとトラブルになる可能性が高くなります。遺品の中には、目利きが難しい品物もたくさんあります。独断で金銭価値がないと判断し処分したものが、実は価値のあるものだったというケースも少なくありません。さらに判断が難しいのが、親族の誰かにとっての思い出の品だった場合。物の価値観は1人1人違うものです。見た目や金銭価値だけを重視して独断で処分してしまうと、あとで非難されてしまう可能性も。また、1人で遺品整理を行なっていたため、うっかり大切な書類を処分してしまった。というケースもあります。共に物品を確認してもらうためにも、親族を巻き込むなど少なくとも2人以上での遺品整理をおすすめします。家族や親族が離れていて、やむなく1人で遺品整理をする場合でも注意が必要です。
思い出の品を処分してしまった
遺品整理を行う際に、理解しておきたいことの1つとして 「物の価値観は人によって違う」という点があります。大勢には不要品に見えても、誰かにとっては大切な物かもしれません。誰かにとっての思い出の品は、その物の状態や金銭的価値とは関係ありません。その人の思い出を知らない場合、物品の見た目だけで価値を見極めるのは難しいでしょう。家族や親族に関わりのありそうな物があった場合には、本人に確認をとった上で処分をしたほうが安心です。
(形見分け)
故人の遺品を親族や親しい友人に譲り渡す形見分けも、トラブルになりやすい事柄の1つです。遺品整理での 不用品を譲渡するのではなく、故人が大切にしていた愛用品など、思い入れのある品物が対象になります。故人との間柄が譲渡する品物の価値に比例する訳ではなく、誰に何を譲渡するかの決まりもないため、むしろトラブルになりやすい傾向にあるようです。
・金銭的価値の高い品物を誰がもらうのか
・もらうと決まっていた品を勝手に持って行かれた
・故人と約束していた品を、遺族が別の人に渡してしまった
形見分けは法的なものではなく、気持ちのものです。故人を想いおこなう儀式が争いの元になっては本末転倒です。もらう側もあげる側も、マナーを守って故人の生きた証を受け継ぎましょう。ちなみに形見分けを行う際には、意外と知られていないマナーが存在します。礼儀を守って気持ちの良い形見分けができますように。
誰が遺品整理をするか
そもそも、親族の誰が遺品整理をするのかでトラブルになるケースも。遺品整理には相当な時間と労力が必要になります。まとまった時間を作るのも容易ではなく、なるべくなら誰かに済ませてもらいたいと考える人も多いようです。また亡くなってからの時間が浅いため、気持ちの整理がつかずに故人との思い出に触れられない、というかたもおられます。確かに遺品整理は普段の片付けとは訳が違います。精神的な疲労も大きいでしょう。結局は親族間で遺品整理の押し付け合いになり、手を付けないまま親族間が険悪になってしまう…といったケースも少なくありません。親族の誰か1人だけに辛い思いをさせないよう、思いやりを持って協力し合いましょう。この先何年も憎しみ合う労力よりも、数日間で得られる感謝のほうが今後の人生に役立つはずです。
業者に依頼したときの費用分担
親族で遺品整理をおこなう場合だけがトラブルに繋がるわけではありせん。遺品整理を専門業者に依頼する場合でも、親族間でトラブルが発生することもあります。
ありがちなケースとして、遺品整理の費用に関する問題が挙げられます。遺品整理にかかる料金は決して安いものではありません。遺品の量や処分にお金がかかる品がどのくらいあるかにもよりますが、ときには予想を超える金額になることも。故人を偲ぶはずの遺品整理。親族同士がお金のことで揉めてしまっては故人も浮かばれません。遺品整理を業者に依頼する際にはあらかじめ親族同士で話し合い、役割分担と費用分担を決めておくことが親族間トラブル回避に繋がります。
相続関連のトラブル
遺品整理によるトラブルと聞いて、まず思い浮かぶのが相続に関連するトラブルではないでしょうか。原則として遺品は相続人の相続財産になり、現金や金品、土地、さらには借金も全て相続対象です。相続人同士で話し合い、親族も納得の上で分割できれば問題ないのですが、皆が相続を拒む土地があったり、財産の金銭的価値に不満がある場合などは親族間トラブルになりやすいようです。相続トラブルは富裕層だけが抱える問題だと思っていませんか?実際にはそうとも言い切れず、一般家庭でも十分起こり得る問題です。
裁判所によると、遺産分割に関する事件・相談の約35%が相続財産1000万円以下。続いて約43%が相続財産5,000万円以下の家庭で起きた事案である、とのデータがあるそうです。自分達には関係ないと思っていると、予想外の問題が起きてしまうかもしれません。
遺品整理中、親族間で揉めないための4つの対策
ここまで遺品整理中にありがちな親族間トラブルを紹介してきました。傷心したなかでの作業に加え、心身に負担のかかる遺品整理。そんな最中に親族間トラブルが起きてしまうと、冷静な判断は難しいものです。普段なら冷静に対応できる些細なことでさえ、ついイライラしてしまい大きな問題に発展させてしまうことも。元々は仲も良く、上手くいっていた親族同士でも、絶縁にまで発展するトラブルになりかねません。遺品整理をおこなう前にトラブルの原因を理解し、以下のような対策を万全にして親族間トラブルを予防しておきましょう。トラブルになりやすい事柄を親族間で共有できれば、なお安心です。
1.遺品整理前に、親族間で話し合う
2.遺品整理はなるべく親族全員で進める
3.遺品整理中も親族同士の意見交換を
4.遺品整理業者に依頼する
順番に解説します。
1.遺品整理前に、親族間で話し合う
ほぼ全てに共通する対策は、遺品整理を始める前に親族全員と話し合い、それぞれの考えを把握しておくことです。葬儀や四十九日の法要などの親族が集まるタイミングで、下記の事柄についてお互いの意見を聞いておきましょう。
・いつ、誰が、遺品整理をするのか
・業者に頼む場合の費用はどうするのか
・遺産をどのように分けるのか
・形見分けで希望する品はあるか
自分の意見を押し付けるのではなく、あくまで話し合いです。親族の意見を聞き出せるよう意識すると良いでしょう。
2.遺品整理はなるべく親族全員で進める
1人での遺品整理は肉体的・精神的にも負担が大きく、疲労により適切な判断が出来なくなる恐れもあります。個人の判断だけになりがちな状況を防ぐためにも、遺品整理は全員、もしくはなるべく大勢の親族でおこないましょう。また独断での遺品整理はトラブルを招きやすいとはいえ、遺品を1つ1つ、親族全員に確認の連絡を入れるのには限界があります。その都度確認し合い、遺品に対する認識の相違を防ぐためにも、できるだけ複数人の親族で遺品整理を進めましょう。
3.遺品整理中にも親族同士の意見交換を
遺品整理中は親族間での確認作業も大切です。 誰が見ても明らかなゴミ以外は、親族の同意を受けたほうが良いでしょう。万が一必要な物を捨ててしまったとき、1人だけが責められるような事態を防ぐためにも、最低でも親族2〜3人の同意は欲しいところ。 自分には不要に見える物でも、処分する前に複数の親族に必ず確認をとりましょう。
4.遺品整理業者に依頼する
親族での話し合いの結果「親族に遺品整理をおこなう人がいない」「人手や時間がない」「不要品の処分法が分からない」「トラブルの元になり得る要素が多い」など、さまざまな不安要素がある場合、親族だけでなく遺品整理のプロである業者に依頼するのも得策です。業者による1つ1つの遺品の確認で、親族に公平な遺品整理ができるでしょう。また遺品整理業者の多くが養成講座で専門知識を学び「一般社団法人遺品整理士認定協会」から与えられる「遺品整理士」という資格を持っています。遺品整理に関する知識だけでなく、遺族に対する心使いも学んでいることから、トラブルになりやすい事柄を敏感に察知し、親族間トラブルを回避しながらの遺品整理に期待が持てるでしょう。
また故人が高齢だったため、普段から自分での片付けが難しくゴミ屋敷になっていた…という話はよくあることです。素人である親族での片付けが困難な場合でも、遺品整理業者であれば不要品の処分や遺品の供養、清掃まで全て任せることができます。だだし遺品整理業者に任せるにしても、不用品の分別作業の際には、できるだけ多くの親族が立ち合うのが理想的です。
親族トラブルの特殊な事例
最後に親族トラブルの特殊なケースをお伝えします。「私には関係ない」と思うかもしれませんが、予想外なことが起きてしまうのが親族トラブルです。さまざまなパターンの事例を知っておくことは心の準備にも繋がります。
口約束によるよるトラブル
故人と交わしていた口約束が遺族間トラブルの原因になるケースも、実は少なくありません。特殊なケースと位置付けたのは、この問題が親族トラブルになってしまった以上、これといった対策も約束を証明する術も無いからです。例えば、「預金額の○○円を貴方にあげる」と約束していたとしても、遺言書やエンディングノートなどに記されていなければ、その真実を証明できません。さらにその金額や市場価値が高ければ高いほど、親族からの不満や疑いも大きなものになります。約束が事実だった場合、信用されない側の苛立ちも理解できますが、この言い分を認めてしまうと「言ったもの勝ち」という状況にもなりかねません。何とでも言えてしまう口約束が、親族からの不満や疑いになってしまうのは当然とも言えるでしょう。現実として、相手が他界してしまった以上約束を証明することはできません。生前の話になってしまいますが、書面や映像に残してもらうことが1番の対策といえます。
第三者の出現
遺品整理を目前に、存在を認知していなかった隠し子やその親族が名乗りでることもあります。「自分には関係ない現実味のない事例」と思うかもしれませんが、実際に体験した人も当初はそう思っていたことでしょう。可能性はゼロではないのです。このケースにも有効な対策や予防法はなく、話しをしてみないことには相手の言い分や希望も分かりません。一度戸籍を確認の上、実際に会って冷静に話を聞いてみましょう。その際にも、何人かの親族に立ち合ってもらうことをおすすめします。
【まとめ】遺品整理中の親族トラブルは、事前対策で予防しよう
以上、遺品整理にありがちな親族間トラブルについて紹介しました。相続を含む遺品整理での親族間トラブルは、今後の親族関係にも直結する問題です。
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親族トラブルなく遺品整理ができますよう、願っております。最後までご覧いただきありがとうございます。